暗号資産を何度か売買すると、取引履歴の手数料が、思っていた金額と合わないことに気づく人は多いです。理由はたいてい同じで、その注文がテイカーとして扱われたからです。メイカーかテイカーかで適用される料率が決まり、取引所によっては片方がもう片方の倍になります。
日本で始める人には、もうひとつ大きな分かれ道があります。取引所で売買するか、販売所で売買するかです。販売所は取引手数料が無料と書かれていることが多いのですが、実質のコストは別のところにあります。このガイドでは、国内の取引所と海外の大手取引所が公式に公表している料率を使い、典型的な使い方での月々のコストを計算します。
メイカーとテイカーを1分で理解する
取引所には板その取引ペアについて、買いたい人と売りたい人が出している指値注文を価格順に並べた一覧です。新しい注文が板の注文と合うと、取引が成立します。があります。ここに、買いたい価格と売りたい価格で待っている注文が並んでいます。待っている注文があるから、ほかの人がすぐ売買できます。
メイカーは、すぐには約定しない注文を出す人です。注文は板に残り、ほかの人のために取引の場を「作る」ことになります。たとえばビットコインが600万円のとき、595万円で指値の買い注文を出して待つのがメイカーです。
テイカーは、板にすでにある注文にすぐ約定する注文を出す人です。板の流動性を「取る」ことになります。たとえば成行の買いボタンを押す、または、すでに600万円で売りに出ている状況で、601万円の指値買いを出すのがテイカーです。
取引所は、板が厚いほど利用者が集まるので、メイカーを安く、テイカーを高くすることが多いです。入口の段階では同じにして、取引量が増えると差をつける取引所もあります。
取引所と販売所の違い:日本で一番大きなコストの差
日本の取引所では、同じ暗号資産でも、売買する場所が2つあります。
販売所運営会社を相手に、提示された価格でその場で売買する方式です。操作は簡単ですが、買値と売値の差が実質的な手数料になります。は、運営会社が提示する価格で売買する方式です。取引手数料は無料でも、買値と売値の差であるスプレッド同じ暗号資産の買値と売値の差のことです。差が大きいほど、買ってすぐ売ったときの損が大きくなります。が、実質の手数料になります。コインチェックの公式の手数料表では、販売所の手数料相当額は0.1〜5.0%で、一部の銘柄では1.7〜7.0%の範囲で変動するとされています。bitFlyerの販売所も売買手数料は無料ですが、スプレッドは相場の状況で変わり、具体的な数字は手数料一覧に書かれていません。
取引所(板取引)は、ユーザー同士が板で売買する方式で、メイカーとテイカーの手数料がかかります。コインチェックの取引所では、BTCのメイカーとテイカーが、どちらも0.000%です。ただしETCやIOSTなど一部の銘柄は、メイカー0.050%、テイカー0.100%などの手数料が設定されています。
| 項目 | 販売所 | 取引所(板取引) |
|---|---|---|
| 相手 | 運営会社 | 他のユーザー |
| 取引手数料 | 無料と表示されることが多い | メイカー・テイカーの料率 |
| 実質のコスト | スプレッド(数%になることも) | 料率のみ(0%〜0.15%程度) |
| 操作 | 金額を入れるだけ | 指値や成行を選ぶ |
たとえば販売所で10万円分のBTCを買い、手数料相当額が仮に3%だったとすると、約3,000円が実質のコストです。同じ10万円を、コインチェックの取引所でBTCとして売買すれば、手数料は0%です。操作に慣れたら、取引所を使うのが、コストを抑える一番の近道です。
国内取引所の手数料を比べる
国内の主な取引所で、公式に確認できた取引所(板取引)の料率は次のとおりです。
| 取引所 | メイカー | テイカー | 備考 |
|---|---|---|---|
| コインチェック(BTC) | 0.000% | 0.000% | 一部の銘柄は0.050%と0.100% |
| GMOコイン(BTCなど) | -0.01% | 0.05% | メイカーは手数料を受け取れる |
| bitFlyer(かんたん取引所) | 0.01〜0.15% | 0.01〜0.15% | 直近30日の取引量で決まる |
GMOコインのメイカーのマイナス手数料は、手数料を払うのではなく、受け取るという意味です。取引所で10万円分のBTCを指値で買い、メイカーとして約定すれば、約定金額の0.01%にあたる約10円を受け取れます。同じ10万円を成行で買ってテイカーになると、0.05%で約50円の支払いです。GMOコインの手数料の仕組みは、GMOコインのキャンペーンと手数料のページで詳しく解説しています。
bitFlyerのかんたん取引所とLightning 現物の手数料は、約定数量の0.01〜0.15%で、直近30日の取引量で決まります。10万円未満の段階は0.15%、100万円〜200万円未満は0.11%、1,000万円〜2,000万円未満は0.07%、5億円以上は0.01%です。初めて使う人は、まず0.15%の段階から始まるので、5万円分のBTCを買うと手数料は約75円分です。くわしくはbitFlyerのページをご覧ください。コインチェックの取引所と販売所の違いは、コインチェックのページにまとめています。
海外取引所の現物手数料
海外の大手取引所の、通常(VIPではない)の口座の現物手数料は次のとおりです。国や口座の種類で異なることがあるので、最終的には自分の口座の手数料ページを確認してください。
| 取引所 | 現物メイカー | 現物テイカー | トークン割引 |
|---|---|---|---|
| Binance | 0.100% | 0.100% | BNBで払うと各0.075% |
| Bybit | 0.100% | 0.100% | なし |
| OKX(グローバル) | 0.080% | 0.100% | なし。資産や取引量で段階 |
| Bitget | 0.100% | 0.100% | BGBでの相殺を有効にすると低下 |
| Kraken Pro | 0.40% | 0.80% | 30日間の取引量で低下 |
Krakenの手数料は、取引量が増えると急に下がります。30日間の取引量が2,500ドルからはメイカー0.30%とテイカー0.60%、10,000ドルからは0.22%と0.38%、25,000ドルからは0.20%と0.35%です。
先物手数料の比較
デリバティブの手数料は、現物より小さく見えますが、レバレッジを含めた想定元本レバレッジをかけたポジション全体の大きさです。証拠金1,000ドルで10倍なら、想定元本は10,000ドルで、手数料も10,000ドルに対してかかります。全体にかかります。
| 取引所 | 先物メイカー | 先物テイカー | テイカーはメイカーの何倍か |
|---|---|---|---|
| Bybit | 0.020% | 0.055% | 2.75倍 |
| OKX | 0.020% | 0.050% | 2.5倍 |
| Bitget | 0.020% | 0.060% | 3倍 |
先物では、テイカーとメイカーの差が現物よりずっと大きく、注文の種類が、コストを左右する一番大きな要素になります。Bitgetで成行注文だけを使って建玉を持って決済すると、指値で待つ場合の3倍の手数料がかかります。
紹介のキックバックとトークン割引の関係
手数料を下げる方法は3つあり、適用される順番が決まっています。
まず、VIPの段階や取引量の段階が、基本のメイカーとテイカーの料率を決めます。次に、取引所のトークンで払うと、その料率が割り引かれます。Binanceの現物では25%です。最後に、紹介のキックバックが、前の2つを反映したあとの、実際に払った手数料の一部を返します。
Binanceで、1,000ドルのテイカー取引は手数料が1.00ドルです。BNBで払うと0.75ドルです。10%を分ける紹介コードで登録していれば、0.075ドルが戻り、実質のコストは0.675ドルになります。キックバックはメイカーにもテイカーにも同じ割合で効くので、どちらが安いかは変わらず、両方が小さくなるだけです。日本の国内取引所では、紹介特典は一度きりのBTCの付与が中心で、継続的な手数料の割引は公式に記載されていないことが多いです。たとえばbitFlyerの友達招待やコインチェックの紹介です。
注意したいのは、コミッションは実際にかかった手数料にしか発生しない点です。手数料が0%の取引では、キックバックも出ません。
計算例:3人の1か月
ここまでの料率で、実際の金額を計算してみます。
Aさん:毎月買う人。 毎月、国内の販売所で10万円分のBTCを買います。販売所の手数料相当額が仮に2%なら、実質のコストは約2,000円で、年に約24,000円です。同じ10万円を取引所でテイカーとして買うと、bitFlyerのかんたん取引所の最初の段階では0.15%で約150円、年に約1,800円です。コインチェックのBTCの取引所なら0円です。この人にとって一番効く対策は、販売所をやめて取引所にすることです。
Bさん:現物でよく売買する人。 月に200万円を取引所で売買し、半分を指値のメイカー、半分を成行のテイカーとします。GMOコインのBTCなら、メイカー分の100万円が-0.01%で約100円の受け取り、テイカー分の100万円が0.05%で約500円の支払いです。差し引き約400円のコストです。同じ取引を全部テイカーにすると約1,000円ですから、半分をメイカーにするだけで、半分以下になります。
Cさん:海外の先物で取引する人。 月に想定元本200,000ドルを取引し、70%をテイカー、30%をメイカーにするとします。
- Bybit:140,000ドルの0.055%が77ドル、60,000ドルの0.02%が12ドルで、合計89ドルです。
- OKX:140,000ドルの0.05%が70ドル、メイカー分12ドルで、合計82ドルです。
- Bitget:140,000ドルの0.06%が84ドル、メイカー分12ドルで、合計96ドルです。
同じ人がすべてメイカーにすれば、どの取引所でも200,000ドルの0.02%で40ドルです。月に42〜56ドルの差で、これは20%のキックバックが返す額(16.40〜19.20ドル)より大きいです。両方を組み合わせれば、さらに下がります。
VIPの段階で、料率が下がり始めるところ
取引量の多い人には、段階に応じた割引があります。Binanceの現物では、まずメイカー側から下がります。
| Binanceの現物 | 条件 | メイカー | テイカー |
|---|---|---|---|
| 通常 | 30日間の取引量が100万ドル未満 | 0.100% | 0.100% |
| VIP 1 | 100万ドル以上とBNB 5枚 | 0.090% | 0.100% |
| VIP 2 | 500万ドル以上とBNB 25枚 | 0.080% | 0.100% |
| VIP 3 | 2,000万ドル以上とBNB 100枚 | 0.040% | 0.060% |
目立つのは2点です。テイカーはVIP 3まで全く動かないので、テイカー中心の人は、VIP 1や2では何も得られません。そしてVIP 3になると、Binanceは現物取引の紹介コミッションの支払いを止めるため、キックバックも終わります。その水準では、VIPの料率のほうが有利です。
手数料を安くする実践的な方法
急がないときは、指値注文を使います。先物では、比較した3つの取引所のどれも、メイカーの料率がテイカーの半分以下です。
トークンでの割引は、頻繁に取引する人が、少額の運用残高として持つ場合に使います。手数料を節約するためだけに、大きな額のトークンを買うのはやめましょう。
登録時に、紹介のキックバックがあるコードを選ぶ場合は、口座を作る前に入力する必要があります。日本の国内取引所の特典を比べたい場合は、国内取引所のキャンペーン一覧が便利です。紹介特典の誇大な表示には注意が必要で、見分け方は偽物・誇大な暗号資産ボーナスの見分け方で解説しています。
最後に、見出しの料率だけでなく、全体のコストを見ましょう。簡単購入の画面、カードでの入金、出金手数料は、取引そのものより高くつくことがよくあります。たとえばコインチェックでは、日本円の出金に1回407円かかると案内されており、少額の取引を繰り返すなら、この出金の費用も考えに入れる必要があります。
よくある質問
メイカーとテイカーの手数料の違いは何ですか?
成行注文は必ずテイカーになりますか?
取引所と販売所は何が違いますか?
手数料がいちばん安いのはどこですか?
マイナス手数料とは何ですか?
紹介コードで手数料は安くなりますか?
公式情報
- Binance — Fee schedule (spot VIP tiers and BNB discount)
- Binance — Futures fee structure and fee calculations
- Bybit — Trading Fee Structure
- OKX — Updates to Global Fee Framework
- Bitget — Trading fees FAQ
- Kraken — Fee schedule
- GMOコイン — 手数料(入出金・取引)
- bitFlyer — 手数料一覧・税
- Coincheck — 取引所手数料
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